第46回日本救急医学会総会・学術集会
会長 坂本 哲也
帝京大学医学部救急医学講座主任教授
帝京大学医学部附属病院長
第46回日本救急医学会総会・学術集会 開催にあたって
この度、私、坂本哲也は第46回日本救急医学会総会・学術集会の開催をお世話させていただく事になりました。身に余る光栄と存じますととともに、日本救急医学会を支えていただいている会員の皆さまに心より感謝申し上げます。学会は2018年11月19日(月)〜21日(水)の3日間を会期として、パシフィコ横浜で開催させていただきます。
1973年に本学会が組織されてから45年が経過する中で、本学会は国民の保健・医療・福祉に寄与するため、救急医学の進歩発展を図り、救急医療の普及と発展に貢献する事を目的として活動してまいりました。救急医療のあり方は社会の多様なニーズに応えて絶えず変化しながら、社会のセーフティネットとしての役割を果たしてきました。救急医療を科学と学問として支える救急医学も数々の進歩を遂げてまいりましたが、なお解決すべき多くの課題が山積しています。Medicine is a science of uncertainty and art of probability(医学は不確実性の科学であり、確率の学問である)はWilliam Osler の残した名言です。救急医学の特徴は、限られた時間の中で診断を確定させることではなく、不確実であってもその時点で最善の選択肢を判断する点にあるとも言えます。救急医学の更なる進歩が、救急医療の可能性を広げることになりますので、本学会が果たすべき役割はますます大きくなっていると考えております。これをふまえ、今回のテーマは「救急医学 — Science of uncertainty and probability」とさせていただきました。
国外からの招待講演にはLance Becker先生 (USA)、Paul Arbon先生 (Australia)、Marcel Levi先生 (UK) の3名をお招きいたしました。Becker先生にはresuscitation science、Arbon先生にはmass gathering medicine、Levi先生にはdisseminated intravascular coagulationについてのご講演をいただく予定です。また、近年、交流が盛んになったアジアの各国から4名の演者をお招きしてアジア特別講演を企画しました。
特別講演は木澤義之先生(神戸大学先端緩和医療学分野教授)、寺本民生先生(日本専門医機構理事長)、堤 晴彦先生(埼玉医科大学総合医療センター病院長)、古田敦也様(元プロ野球選手・監督)にお願いいたしました。それぞれの領域のオピニオンリーダーとして活躍されている立場から興味深いお話しがうかがえるものと期待しています。
主要プログラムとして、10のシンポジウム、28のパネルディスカッション、6つのワークショップ、3つのpros & consセッションを企画させていただきました。会員の皆さまから大変多くの応募をいただき、どうしてもシンポジウム等の時間内におさまらない優秀演題のために、関連セッションを設けさせていただきました。2年後の東京オリンピック・パラリンピック2020に向けて、救急医が果たす役割や救急災害医療体制に係るコンソーシアムの活動について集中的に議論する企画を準備いたしました。
一般演題にも多くの応募をいただき、ご尽力いただいた会員の皆さまに心より感謝申し上げます。昨年までと同様に、多くのセッションではベテランと若手の二人の先生に座長をお願いしましたので、是非、若手の皆さまには経験を積み飛躍の機会としていただければと思います。
また若手から専門家まで多くの会員の皆さまに貴重な情報をお届けできるよう、21の教育講演を準備いたしました。日本専門医機構の専門医制度に従った講習は、9つの救急科領域講習と3つの共通領域講習を開催いたします。
加えて、将来の救急医学を担う若者のために研修医セッションと学生セッションの募集を行い、多くの応募をいただきました。20日(火)にご発表をいただき、優秀演題を選考して表彰を行う予定です。20日(火)夕方に行う国際シンポジウムと、21日(水)に行うInternational Sessionでは、海外から応募していただいた演者も含めて、英語で発表と討論を行うことになっております。
ハンズオンセミナーや委員会報告など、ここでは書き切れない企画も含め、会員の皆さまのご提案やご協力により、盛り沢山で充実したプログラムになったと感じておりますが、学会の成功は会場での活発な意見交換にかかっていると思います。多くの先生方にご参加いただき、価値ある時間をお過ごしいただけるよう準備を整えて横浜でお待ちしています。